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(2015.5.22 管理人 記)

2011年11月06日

宇都宮泰さんのガイガーカウンター制作ワークショップ

 ガイガーカウンタを作って来ました。

 宇都宮泰さんのガイガーカウンター制作ワークショップは、以前から面白そうだとマークしていて、11月に関西で開催されると知って、即、申し込みました。
 工作は好きなので、ガイガーカウンタも自作のサイトを当たったことはあったのですが、ガイガーミュラー計数管(ガイガー管)が高価なこと。そして電子工作の知識がないので、自作品が動作不良の場合、回路図を見てもどこがおかしいのか自分では判断できないので、二の足を踏んでいました。ワークショップなら、わからない部分の指導もいただけるかな、と。

 組み上げるガイガーカウンタは極めてシンプルなもの。
 SBM-20という旧ソ連製のガイガー管(写真)を、「写ルンです」を分解して取り出した高電圧回路で駆動し、出てきたパルスを百均ショップの万歩計に送ってカウント表示させます。シーベルト表示はないのですが(自分で換算すれば出ることは出る)、ガイガーカウンタ本来の姿とはいえます。

 参加者は、見るからに電子工作に慣れた方から、もしかすると半田ごて初めて? という方まで幅広い層(ただし今回の男女比は圧倒的に男子寄り)。

 当日の工作は「写ルンです」を分解して、高電圧回路を取り出す工程が中心。
 ガイガー管を動かすには高電圧(今回のSBM-20で360〜400V)が必要ですが、このために「写ルンです」のストロボ発光用の回路を改造して転用するのです。作業開始の前に、回路の一部をアルミ箔のかけらでショートして放電させます。バチバチ火花が飛んで、ちょっと怖いけど、面白い。自分がこれから触るものがどんな役割を果たしているのかも分かります。
 改造といっても、不要な部品を外す作業がほとんど。あとはコンデンサをストロボ用の巨大な電解コンデンサから積層セラミックコンデンサに交換するのと、ジャンパ線を一ヶ所取り付けるくらい。

 苦戦している人にはスタッフのサポート付き。「難しいと思った方はどんどん言ってくださいね〜」という言葉に甘えて、実は私も、基板から不要な部品を外す作業を、半分以上、講師の宇都宮さんにやって頂きました。ハンダ吸い取り機なんて初めて見ましたよ。
# 自分のハンダごてとハンダ吸収線を持っていけばよかった。

 ケーブル類は最初から加工してあるものを配られて、マニュアルを見ながらつなぐだけ。万歩計も高速化改造済み。この事前の準備だけでも大変だったはず。

 電子部品のハンダ付けは数年ぶりで、基板は写真でお見せするのも恥ずかしいハンダのテンコ盛りとなっておりますが、通電したらちゃんと動いたので一安心でした。

 ワークショップは組み立てが前半。そして組み立てた実機を使っての測定法の解説が後半になります。

 完成したガイガーカウンタ。まずはみなで1分ずつの計測を数回繰り返します。
 1分間のカウントは、13〜26と、倍の範囲に散らばります。
# 念のため付記すると、これは自然放射線を測っています。

 なんか感度がばらついているような気もしますが、これはしょうがないこと。
 例えば星を見ていて流れ星の数を数える時、5分間でパパっと2個も3個も飛ぶことがあれば、同じ5分間でも全くのスカだったりすることもあります。
 ぜんぜん違う例えになりますが、コンビニのお客さんの様子を見ていると、レジに並んでいる人がいない時もあれば、バババッと列ができちゃうこともあります。
 短時間の計測だと、たまたま濃い部分を拾ってしまったり、薄い部分を拾ってしまったりするわけ。
# ワークショップの中では雨粒を例に解説されました。

 さて次に、みなでカウントが100になるまでの時間を計測します。最短が259秒、最長が361秒。同じカウンタで測りなおしただけなのに、バラつき加減がずいぶん収まって来ました。

 先の例の流れ星やコンビニの客も、長い間計測を続ければ、ばらつきが均された数字になります。
 このあたりの誤差は数学的に分かっていて、10カウントだと31%、100カウントだと10%、1000カウントだと3%、10000カウントだと1%と、カウントした数が多いほど、誤差が減っていきます。

 宇都宮さんが提唱しているのは「定確度計数」というもので、100カウントあるいは1000カウントまでに要する時間を測ろうというもの。これだと毎回、誤差を一定範囲に抑えた数字を得られるわけ。なるほど〜。
# 今回の作例で10000まで数えると、実際はバックグランドの変動等で数字がぼけてくるそうです。

 測定については、記録のとり方を徹底的にレクチャーされました。
 本計測の前後に、1分間の計測でも構わないから、バックグランドの計測をすること。これは機器の動作確認も兼ねています。万が一「ヘン」な数字が出た時も、機械に異常が無かったか確認できます。
 講習の中では、論理的手順に従った計測を行うこと、手書きで生データを残すことの価値を強くおされていたのが印象に残りました。

 写真は今回のワークショップで頂いてきたもの。下に敷いてあるのはA4判のバインダ。左の青いのはストップウォッチ。次がクリスタルイヤホン。製作したガイガーカウンタにイヤホンジャックがついているので、これをセットすると「ガッ、ガッ……」という音も聞けます(ただし歩数計のカウントとは択一)。右上は3mm厚のアルミアングル×2で、これでガイガー管を囲むとβ線を遮蔽した計測ができます。そして右下が作成したガイガーカウンタ。
 百均ショップを利用して集めたものですが、計測に必要なグッズがひと通り揃えてあるあたり、至れり尽くせり。今回の参加費は5000円だったのですが、儲けは殆ど無いというか、準備の手間を考えると持ち出しになるんじゃないかと思います。

 あとは製作したばかりのガイガーカウンタを、放射線源に当てたりしてみるわけですが、市販の「減塩塩」やランタンのマントル、溶接棒や古いカメラレンズで激しくカウンターが上がる様子に一同、驚きの様子。減塩塩は塩化ナトリウムの代わりに塩化カリウムを入れた塩ですが、カリウムの中に一定、放射性元素のカリウム40が含まれているため、ちょっとした線源になります。ある種のランタンのマントルや一部の溶接棒はトリウム入り。古いカメラレンズもトリウム入りのものがあるそうです(参考:アトムレンズ)。
# キヤノンFL50mmF1.8って、むかし持っていました。手放さなきゃよかった(ぉぃ)。←押入れ探したら出てきました。

 上級編というか、今後の展開ということで、GPSロガーと連動させた改造例や、ロシア製のガイガーカウンタ改造計画の話も出てきました。この辺りになってくると、面白そうだなとは思いつつも、私の理解力では技術的な話についていくのが大変。
 写真はそのロシア製のガイガーカウンタや、今回製作したガイガーカウンタをさらに発展させた改造作例たち。

 13時から17時に渡る長時間のワークショップでしたが、参加した甲斐がありました。

 今回のワークショップで使われたテキスト類は、宇都宮泰さんのサイトで公開されています(ワークショップのページ)。
 読み物としても面白いので、興味のある方にはお勧めです。


posted by ふくだ at 23:45| Comment(2) | 雑記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ふくだ様

先日はワークショップへのご参加、ありがとうございました。その後、製作されたセットは快調でしょうか。もしお気づきの点などありましたら、ご一報下さい。
utsunomia.comでは参加者の皆さんが発表されている感想文等へのリンク集を掲載しているのですが、そちらへこのページアドレスを含めさせていただいてよろしいでしょうか。もし不都合などありましたら、サイトコンタクトまでご連絡下さい。

y.utsunomia
Posted by y.utsunomia at 2011年11月19日 01:01
y.utsunomiaさま

いらっしゃいませ。お返事遅くなりました。
ワークショップでは大変お世話になりました。セットはその後も順調に動いています。
リンク集への掲載は差し支えありませんので、よろしくお願いいたします。
Posted by ふくだ at 2011年11月21日 07:33
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