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(2015.5.22 管理人 記)

2014年09月07日

木村榮記念館

 国立天文台水沢VLBI観測所の敷地に木村榮記念館があります。
 木村榮(きむら・ひさし)は水沢緯度観測所の初代所長で、地球の自転軸の変動に係る「Z項」の発見で知られています。
 19世紀末に始まった地球の緯度変化を観測する国際プロジェクトに日本も参加。1899年に水沢での観測が始まります。明治維新から30年ちょっとの出来事。
# ちなみにそれに先立つこと15年の1884年、グリニッジ子午線を本初子午線に定めた国際子午線会議にも日本は参加しています。何かにつけて行動的な時代だったのだと思います。

 世界6ヶ所に設けられた観測所のうち、水沢のデータは他の地点と違いが大きく、当初は観測誤差を疑われました(なにせ当時の日本は新参者)。しかし装置や観測手法を点検して異常がないことを確認し、データを洗いなおした結果、緯度変化の計算式に新たな補正項を加えると観測結果をよく説明できることが分かりました。これがZ項で、その発見は近代日本天文学が初めて成し遂げた世界的な貢献でした。
# Z項の変化量は年間で1m程度。その原因が地球の内部の流体核であることが突き止められるのは1970年代でした。

 いくつか分かれている展示室の「所長の部屋」。木村榮の当時の執務室を再現しています。英国王立天文学会ゴールドメダルとか文化勲章とか恩賜賞とか栄典もいっぱい。

 「観測の部屋」。部屋の中央に置かれているのが眼視天頂儀。眼視天頂儀室で使われていたものを移設したもの。一時はオーストラリアのアデレード天文台に貸し出されていたそうです。
 部屋の奥の奥の時計は恒星時を示すもの。

 「Z項の部屋」にある浮遊天頂儀が個人的ハイライト。
 1949年に緯度観測所創立50年の記念切手が発行されているのですが、その時に採用された図案がこの浮遊天頂儀です。「浮遊」は水銀のタンクに架台ごと望遠鏡を浮かべて水平を保つ仕組みがあるゆえの名称。
 切手の図案を見る限り、架台が天体望遠鏡らしくないので測量関係の機材かと思っていたのですが、れっきとした天体望遠鏡でした。それも現存して展示保存されていたとは。びっくりです。
# とはいえ測量関係の機材でもあります。国土地理院でも天測やってきてますし。

 緯度観測の歴史に加えてどのような手法でどんな観測青果を上げてきたのかも紹介されていて、充実した記念館でした。


posted by ふくだ at 23:50| Comment(2) | プラネ/天文台/科学館 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
この真ん中の円盤に水銀が入ってるの?
面白そうなとこねー
Posted by あぴ at 2014年10月01日 08:29
そうですそうです。
水銀に浮かせているので、摩擦が少なく、水平の回転が滑らかにできるんです。
灯台のライトもこれで回してるところがあります。

あと変わったところでは、水銀を大きな器に入れて回転させて放物面を作って反射鏡にしている望遠鏡があります。
http://www.astro.ubc.ca/lmt/index.html ( Liquid-Mirror Telescope = 液体鏡望遠鏡)
Posted by ふくだ at 2014年10月01日 20:23
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