塩屋天体観測所の雑記帳はhttp://stelo.sblo.jp/に移転しました。
今後はこちらの旧サイトを更新しません。引き続き移転先でよろしくお願い致します。
(2015.5.22 管理人 記)

2014年09月27日

特別展「明月記と最新宇宙像」(京都大学総合博物館)

 京都大学総合博物館で開催されている特別展特別展「明月記と最新宇宙像」(〜10月19日)を見学。期間中の9月17日〜28日は『明月記』の原本が展示されるというので、それに合わせて出かけてきました。

 『明月記』は藤原定家(1162〜1241)の日記。歴史上の著名な人物では、北条政子(1157〜1225)や源義経(1159〜1181)が同世代です。定家自身は歌人として名を残し、古文や日本史で高校レベルの教科書に登場します。
 天文分野で『明月記』が名高いのは、この中に超新星の記録が記されていること。特に1054年におうし座に出現した超新星(SN1054)はその残骸が、おうし座のかに星雲(M1)になっています。

 1054年は藤原頼通が平等院鳳凰堂を築いた前後。藤原摂関政治の最盛期ですが、定家が生きていた時代とは2世紀近く開きがあります。実は明月記の超新星の記録は、定家が陰陽師の安倍泰俊に問い合わせて、過去の観測例を引用したものです。

 記載があるのは1230年11月。定家は過去の「客星」の事例を安倍泰俊に尋ね、その返書がそのまま日記に貼られています。客星の記録部分は定家の直筆でなく、筆跡がまるで違っています。定家は書でも名を残した人ですが、素人目にはクセが強くて読みにくい字です。

 もともと漢字ばかりの漢文調で書かれている上に、星の名前も中国の星図によるものなので、知識があってこそ面白い展示と言えます。
 客星の観測例は8つ引かれているのですが、そのうちの3件が超新星(SN1006とSN1054とSN1181)とされています。

 なお定家直筆の『明月記』は国宝に指定されている文化財で、ふだんは定家の子孫の冷泉家(冷泉家時雨亭文庫)が保管しています。

 特別展示室の中央が明月記、部屋の周囲は京大につながる宇宙地球科学者にまつわる展示になっています。

 明月記に関わるところでは、明月記の天文記録を海外へ紹介した射場保昭さん。神戸在住のアマチュア天文家です。
・「明月記の客星出現の記録を海外に紹介した日本人−射場保昭氏について」竹本 修三(京都大学名誉教授)(Word)
 的場さんの経歴は長らく謎のままだったのですが、2年ほど前にご子息と連絡が取れ、その活動の様子が明らかになりました。今回の特別展の企画もそれがきっかけだったとのこと。

 山本一清さんのコーナーでは、長島愛生園に天文台があったことと、その指導に当たられていたことを紹介する展示がありました。長島愛生園の天文台は東京天文台に太陽観測の報告をするなど、本格的な観測に取り組んでいたそうです。
・「京都)ハンセン病療養所 『天文台に希望』患者が手紙に」(2014.4.21朝日)

 石塚睦さんのコーナーは、氏のペルーでの半生の歩みと業績を紹介するもの。
 2009年の小笠原沖皆既食で一緒の船に乗られていて、船内で講演会が行われたこともあって、石塚さんの経歴は承知していたのですが、不屈の精神に改めて頭の下がる思いです。

 『明月記』の展示は終わっていますが特別展は10月19日まで開催していますので、お近くの方はぜひ。


posted by ふくだ at 23:45| Comment(0) | プラネ/天文台/科学館 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。