塩屋天体観測所の雑記帳はhttp://stelo.sblo.jp/に移転しました。
今後はこちらの旧サイトを更新しません。引き続き移転先でよろしくお願い致します。
(2015.5.22 管理人 記)

2015年01月18日

TVドラマ版 神戸在住

 原作を全巻持っている好きな作品で、それだけに映像化は期待より不安が大きいくらいだったのですが、ドラマも「これならあり」と思いました。最初の5分くらいはドキドキしながら見ていたのですが、あとは安心してドラマの世界に身を委ねました。

 原作の時間軸を2014-15年にずらしていること、コミック10巻分のエッセンスを1時間半の尺にまとめていることで、ストーリーや設定はあれこれ変えた部分もありますが、さすが地元テレビ局だけに、震災から20年を経た「今の神戸」を生きる人々の物語として、よく読み解かれたと思いました。

 8年10巻にわたって連載された作品なので、90分の尺に収めるのは最初から無理。
 原作の時間軸は1998年から始まりますが(時に回想として震災のエピソードも描かれます)、これを思い切って2014年に移しています。だからこそ設定の変更も受け入れられるし、今のドラマとして描いたからこそ、多くの人に見てもらえるまとめ方が出来たのだと思います。

 ほぼ原作通りのイメージの桂と友人3人。原作ではシニカルな日向さんはちょっといい人よりですが、雰囲気はそのまま。
 事前のキャストでは、桂は可愛いほうに、鈴木さんはひょうきんな方に寄ってるかなと思ったのですが、桂の内気な部分、鈴木さんのノリよく明るい部分をうまく演じられていたと思います。
 見かけは一番イメージの遠かった早坂くんも、「愛されキャラ」の立ち位置で違和感ありませんでした。小西さんの言葉がおネエ系なのだけはちょっと微妙。元オペラ歌手でゲイという特異なキャラですが、原作ではダンディーに描かれているので、ここは元のイメージでよかったかも。
# 細かいところでは、林浩の好青年な部分をもう少し出してくれたらと。

 桂と日向さんの関係、桂が「恋」と言い切ってしまうところ。私はあこがれやら尊敬やら(もちろん好きという気持ちも)混じった感情かと思うので、言い切りよったか!と驚きました。解釈の幅としてはありなのかな。「恋」と言い切る台詞と裏腹に、桂の日向への気持ちはストレートな恋ではなく、自身が美術を志す道標となった大切な人の、傍らに居られること自体がかけがえのないこととして描かれています。いずれにせよこの2人の関係がブレていなかったのはよかったです。

 愛華みれさん、田中美里さん、竹下景子さん演じる3人の「大人」。
 愛華みれさんの桂の母親は原作よりとびきり明るくなっていますが、これは東京から移ってきた人間が「外向きの神戸」を楽しむ視点。田中美里さんの合田さんはバリバリの仕事人ながら、ふとしたきっかけで震災の傷を露わにします。竹下景子さんは、優しく穏やかに、けれども震災の悲しみを抱えながら生きる役。三者三様の立場から、物語の背景に流れる震災と20年の歳月を浮かびあがらせていました。

 震災を経験している劇中の大人は、ほとんど震災を語ることはありません。
 桂と友人3人は震災後の生まれで、震災は間接的にしか知らない出来事として描かれています。
 あえて深く切り込まないように見せておきながら、でもだからこそ、震災を経験して20年の月日を経た「今の神戸」を生きる人々の物語になりました。

 脚本もスタッフも原作を相当読み込まれて解釈されているのが分かりました。ちょっと駆け足なところとか手放しで褒めたりしませんが(原作ファンはうるさい)、見てよかったと思えるドラマでした(褒めてる)。

 劇場版も見に行こうと思います。


posted by ふくだ at 23:45| Comment(0) | 読書録・映画録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。