ここ数年「スーパームーン」という言葉が広まっています。視直径が大きい近地点近くの満月を指すのに使われていて、2014年は8月11日の満月が相当します。
「スーパームーン」という言葉が何時頃から広まったのか、軽く調べてみました。
Googleで「スーパームーン」をキーワードに、1年毎に区切った期間指定の検索を行い、表示された5ページ分(50記事)の中から満月にまつわる記事をカウントしました。
と書くと簡単ですが、最近はブログ等の脇に「注目キーワード」や「タグ」が表示されるため、古い記事にも今年のスーパームーンが紛れて検索にかかってしまいます。サイトを確認して関係ない記事は除外しましたが、きちんとしたフィルタリングでないことはご承知おきください。
# こういう用途での期間指定の検索はノイズだらけになることは分かりました。
結果。
日付が明らかな記事では、2000年から2009年は0件。
2010年に7件、2011年に46件、以下2012年46件、2013年45件、2014年42件となりました。
◆国内初出は2010年か
検索した限りで初出なのが、2010年8月25日の「スーパームーン」。いずれも占星術的な扱いです。
・「すみません!今日夜中!がスーパームーン☆」(2010.8.25AHN MIKAオフィシャルブログ)
・「スーパームーン」(2010.8.25トータス松本?questionブログ)
・「「今日から始まるスーパームーン週間♪」(2010.8.25フェアリア未紀のプチ予言)
面白いのはこれ、実は遠地点での満月なのです(AstroArts 2010年8月の天文現象カレンダー)。今と使い方が逆。
そして上に紹介したブログの2つは、半月後の近地点での新月も「スーパームーン」としています。
2011年9月のナショナルジオグラフィックの記事では、「月が近地点を通過するときに満月か新月だと、スーパームーンとなる」と紹介されています。
・「あす朝スーパームーン、しかし新月」(2011.9.27ナショナルジオグラフィック)
どうやら「スーパームーン」は、もともと月の近地点・遠地点と新月・満月がセットになった組み合わせだったようです。
◆大きな満月に固定されるのは2011年
2011年は3月20日が近地点かつ視直径が最大の満月でしたが、この近地点は1993年以来の「最接近」でした。また近地点通過のわずか1時間前に満月になったことから、過去20年間で最も視直径が大きな満月となりました(AstroArts 2011年3月の天文現象カレンダー)。
NASAのサイエンスニュースでもこのことを取り上げています。タイトルでは「Super Full Moon(スーパー満月)」、本文では「super "perigee moon"(スーパー「近地点の月」)」としています。
・「Super Full Moon」(2011.3.16NASA Science News)
ニュースサイトでよく取り上げられるナショナルジオグラフィック(日本版)では「スーパームーン」としています。
・「最接近の満月、“スーパームーン”」(2011.3.22ナショナルジオグラフィック)
これらがあちこちで紹介され、この時から「スーパームーン」が「近地点の満月」「その年で最も大きく見える満月」の意味で広く使われるようになったと思われます。
いつもお世話になっているふくはらさんの「星の情報.jp」をサイト内検索しても、2011年3月が「スーパームーン」の初出。先ほどのナショナルジオグラフィックのサイト内検索でも2011年が初出です。
・「[画像]スーパームーン」(2011.3.20星の情報.jp)
Googleの期間指定検索の結果からしても、「スーパームーン」が国内で広く使われるのは2011年以降であることが推察されます。
ちなみにAstroArtsの天文現象カレンダーで「スーパームーン」を併記するようになったのは2013年から(AstroArts 2012年5月の天文カレンダー/2013年6月の天文カレンダー)。この段階である程度、定着したと判断されたのかもしれません。
ということで「スーパームーン」、国内ではこの5年ほどで広がった言葉と考えてよさそうです。
もともとの「Super Moon」が英語圏でどういう意味を持ってどの程度使われていたのかも興味のあるところです。英語版のWikipediaの”Supermoon”の項目では、占星術師のRichard Nolleが1979年に言い出したことのようです。
◆2014年、スーパームーンが3回やってくる!?
先に紹介したNASAのサイエンスニュースでは、2014年は3回スーパームーンがあるとしています。
・Three Supermoons in a Row(2014.7.10NASA Science News)
もともと「スーパームーン」は定義の曖昧な言葉でしたが、NASAのサイエンスニュースでは「近地点通過と同じ日の満月」を「スーパームーン」としたようです。
「同じ日」は24時間以内としているようで、2014年は7月・8月・9月の3回の満月がこの条件に当てはまります。この場合、必ずしも「その年で一番大きな満月」ではなくなります。
この定義によると、先ほどの2011年も3月だけでなく、2月と4月の満月も「スーパームーン」になります。回数が増えて注目を集めるにはよいかもしれませんが、「ありがたみ」は薄れてしまう気もします。
思いもかけずに深入りしてしまいました。ここまでおツキあいくださってありがとうございました。
塩屋天体観測所の雑記帳はhttp://stelo.sblo.jp/に移転しました。 今後はこちらの旧サイトを更新しません。引き続き移転先でよろしくお願い致します。(2015.5.22 管理人 記)


思いがけず全部読んでしまった。
なるほどねえ。